情報を取り込み、感情を付与し、理解し思考する➖脳はこの一連の動きを経て、気持ちや心、信念を含む一つの考えをまとめ上げます。
脳がまとまった考えを生み出すことができるのは、瞬時に情報が脳内を駆け巡る仕組みがあるからです。
脳の情報伝達の仕組みを理解するうえでヒントになるのが、1998年に米コーネル大学の心理学者が「nature」誌で発表した「スモール・ワールド」の考え方。
友達から友達へ、さらにその友達へと情報を伝えていけば、いずれは知り合い全員の間で情報が共有されますが、ここで、直接の友達を飛び越えて情報を伝達するルートがあると、情報が伝わるスピードが一気に加速する。 これが、スモール・ワールドの考え方です。
実は、脳にある膨大な数の神経細胞も、同様の方法で情報伝達を行なっています。
脳は、こうして共有された情報を統一してまとまった考えを生み出すわけですが、それはどのような仕組みによるのでしょうか?
脳の神経細胞は、常にわずかながら自発活動しています。そこに情報がもたらされると「発火現象」が起こります。
つまり、そうやって脳の神経細胞が興奮すると、そのまわりにある神経細胞も同期発火を起こし、その現象が次々と波のように伝わって、やがて一つのループを発生させるというわけです。 このような「同期発火の連鎖」によって、脳内の情報がまとまると考えられています。