脳が考えを一つにまとめる仕組みとは

情報を取り込み、感情を付与し、理解し思考する➖脳はこの一連の動きを経て、気持ちや心、信念を含む一つの考えをまとめ上げます。

脳がまとまった考えを生み出すことができるのは、瞬時に情報が脳内を駆け巡る仕組みがあるからです。

脳の情報伝達の仕組みを理解するうえでヒントになるのが、1998年に米コーネル大学の心理学者が「nature」誌で発表した「スモール・ワールド」の考え方。

友達から友達へ、さらにその友達へと情報を伝えていけば、いずれは知り合い全員の間で情報が共有されますが、ここで、直接の友達を飛び越えて情報を伝達するルートがあると、情報が伝わるスピードが一気に加速する。 これが、スモール・ワールドの考え方です。

実は、脳にある膨大な数の神経細胞も、同様の方法で情報伝達を行なっています。

脳は、こうして共有された情報を統一してまとまった考えを生み出すわけですが、それはどのような仕組みによるのでしょうか?

脳の神経細胞は、常にわずかながら自発活動しています。そこに情報がもたらされると「発火現象」が起こります。

つまり、そうやって脳の神経細胞が興奮すると、そのまわりにある神経細胞も同期発火を起こし、その現象が次々と波のように伝わって、やがて一つのループを発生させるというわけです。 このような「同期発火の連鎖」によって、脳内の情報がまとまると考えられています。


潜在意識が持つ四つの特徴

ものを思考する、言葉を発する、決断するなど、普段私たちが意識的に使う脳の3%を「顕在意識」といい、そしてコントロールが難しい無意識の領域を「潜在意識」といいます。

行動を司る顕在意識に対して、生命の維持活動や、人間の習慣を司っているものが潜在意識です。この潜在意識は20世紀初頭、心理学者のフロイトという人によって、その存在を発見されました。

この潜在意識には四つの特徴があります。 ①人間で言うところの善悪の判断がで きない ②「私」と「他人」を区別できない ③訂正するまで、入った言葉をストップできない ④時間を認識できない

という特徴を持っています。あなたの無意識に発する言葉が、そのままダイレクトに貯蔵されるしくみになっているのです。

人間の習慣や無意識のクセ、行動パターンはこちらの潜在のゾーン担当です。

「こころ」はいかにして生まれるのか

脳は身体の状態に常に影響を与えているが、その一方で、全身の感覚は、感覚系を通して脳の機能に大きく影響している。 また、末梢のさまざまな臓器も、自律神経系や内分泌系を介して常に脳に情報を届けており、「こころ」の機能にも影響を与えている。

脳は、感覚系や神経系、内分泌系を介して全身と接続されている。 脳と全身は、ユニットとして機能している。

「こころ」の源泉は脳で生成され、脳は全身の器官に影響を及ぼして「こころ」を表現する。その一方で全身の器官もまた、脳に情報のフィードバックをして感情や気持ちを修飾し、「こころ」を変化させる。

多くの人が理解している通り、脳が「こころ」の主座であることは間違いない。そして、多くの人は、「こころ」は高度な精神機能であり、その働きには、脳の中でもっとも進化した大脳皮質が大きな役割を果たしていると考えているかもしれない。

しかし、大脳皮質が「こころ」に果たす役割は実は多くの人が想像するよりずっと少ない。

確かに大脳皮質は高度な情報処理システムではあるが、感情の動きや、性格傾向、行動選択などの「こころ」の本質をつくっているのは、もう少し脳の深部にある構造なのである。

そこでつくられている、「こころ」の本質に深く関わっているものを「情動」という。

アファメーションのルール

アファメーションを端的に表現するならば、「あるルールに基づいて作った言葉を自らに語りかけること」。

そして、その言葉によって、新しいブリーフシステムを構築して自らの夢やゴールに向かうことができます。

①個人的なものであること

②肯定的な表現のみを使い、肯定する対象のみを盛り込む

③「達成している」という内容にする

④現在進行形で書く

⑤決して比較をしない

⑥「動き」を表す言葉を使う

⑦情動を表す言葉を使う

⑧記述の精度を高める

⑨バランスをとる

⑩リアルなものにする

11 秘密にする

エフィカシーを常に高く保つ

エフィカシーは自分のゴール達成能力の自己評価と言うべきもの

コンフォート・ゾーンにはレベルがあり、それは「エフィカシー」によって測ることができます。 コンフォート・ゾーンがゴールのある場所にずれれば、エフィカシーも結果として高くなります。

エフィカシーは普段の生活の中でも、とても重要な働きをしてくれます。

たとえば「どうせ私なんて」といつも考えている人と、「自分はもっとやれる!」と考える人とでは、人生そのものが大きく変わってしまいます。

「どうせ私なんて」と考えた瞬間に、その程度の結果しか残せなくなってしまうのです。だから、どんなことでも「自分ならできる」と思うようにしましょう。 エフィカシーしだいで、あなたの人生の質は大きく変わってきます。

現状から離れた抽象度の高い場所にコンフォート・ゾーンを設定し、それをエフィカシーとすれば、現状のコンフォート・ゾーンと新しく設定したコンフォート・ゾーンとのギャップが大きければ大きいほど、ゴールを達成するための強いエネルギー(=ホメオスタシス)が生まれます。

これをテンションの高い状態と言いますが、現状と新たなコンフォート・ゾーンとの間が広ければ広いほど、上にジャンプする力が強まるわけです。

ベストなのは、現状とゴールのコンフォート・ゾーンのギャップを、次元を超えるくらい大きくすること。「現状では達成不可能。でも、何としてでもやり遂げる!」という強い使命感に駆られるゴールであることが望ましいのです。

そのためにも、エフィカシーを常に高く保つようにしましょう。それがあなたがゴールを達成できるかどうかの重要な鍵を握っています。


ゴールの達成のためにブリーフシステムを書き換える

ブリーフシステム(Belief System)とは、人間が無意識にとっている行動(Habit)と判断(Attitude)を決定するシステムのことを言います。

この認識パターンは、脳の前頭前野に蓄積されています。

ブリーフシステムはWORD(言葉)、PICTURE(イメージ)、EMOTION(情動)の三つで構成されていて、この三つがセットになって、ブリーフシステムを築き上げています。

ブリーフ自体は人間誰しも持っているものですが、注目すべきは、ブリーフがその人のパフォーマンスを決定してしまうということです。 人は自分のブリーフシステムに合わない行動をとろうとしないのです。

つまり、新しいことが出来ないのです。

人はホメオスタシスによってコンフォート・ゾーンである現状を維持しようとするので、新しいことを意識に上げることすら出来ないのです。

ということは、ゴールのある場所のコンフォート・ゾーンに現状のコンフォート・ゾーンをずらしてスコトーマを外すためには、ブリーフシステムを書き直すか、新しいゴールに合致したブリーフシステムを構築しなければなりません。

現状のコンフォート・ゾーンをずらすことでゴールに近づくことができる

私たちの脳は常に、インプットされた情報に対して勝手にフィルターをかけ、重要だと思うものだけを認識しています。これが「スコトーマ(心理的盲点)」の原理

このフィルターが機能する際に最も重視する基準が「コンフォート・ゾーン(自分が一番楽に自然でいられる、慣れ親しんだ領域)に合致しているか」ということです。

コンフォート・ゾーンに合致していないものは重要度が低いため、スコトーマが働いて、たとえ目の前にあっても見えなくなってしまいます。

コンフォート・ゾーンの中で生きることを私たちの脳は「よし」とするため、コンフォート・ゾーンから外れる行為に対しては、よいこと・悪いことにかかわらず、元に戻ろうとする力が働きます。この力をホメオスタシスと呼んでいます。

ホメオスタシスとは、日本語で「恒常性維持機能」と言い、生体の機能を一定の状態に保つ働きをします。

たとえば、冬の寒い日は身震いをして体温を上げようとし、夏の暑い日は、汗をかいて体温を下げようとします。このように、私たちの身体には外部の環境変化に対して体の内部状態を一定に保っていこうとする調節の仕組みがあるのです。

そして、ホメオスタシスは身体の物理的な面だけでなく、心の世界にも作用するのです。 たとえば、宝くじに当たった人がすぐに散財し、「悪銭見につかず」と言われてしまうのは、まさにこのホメオスタシスの働きによるもの。 また、ダイエットしてもすぐリバウンドしてしまう人は、ホメオスタシスの力が働いて、太っている状態というコンフォート・ゾーンにその人を引き戻した結果なのです。

あなたがゴールを設定した場所に、新しいコンフォート・ゾーンを作れば、あなたはホメオスタシスのエネルギーによって引き寄せられるようにゴールを達成することができるでしょう。