架空の世界を使って臨場感を強めよう 「スターウォーズ華厳瞑想」

目次

解説

お経や聖書にいまいち関心をもつことができないという人は、マンガや映画を使って瞑想しましょう。

昔の日本人にとってお経は身近なものでした。また、キリスト教の国では今でも聖書はとても身近な書物です。

しかし、日本に住む多くの現代人にとっては、お経も聖書も少々縁遠いものではないでしょうか。

自分や世界を変える力をもっているのは、お経や聖書ではなく、あなた自身の心です。

その大原則さえはずさなければ、どんな道具を使って瞑想してもかまいません。

映画でいえば、個人的におすすめなのは70年代にスタートした大人気SF映画「スターウォーズ」です。

「スターウォーズ」が描いているのは、実は華厳の世界です。架空の銀河を舞台にした壮大な物語のなかに、釈迦の教えがちりばめられています。

ここでは「スターウォーズ華厳瞑想」と名づけて、「スターウォーズ」を使って瞑想する際のポイントをお教えします。

ワーク

「スターウォーズ華厳瞑想」は、お経瞑想と同じく、一つ一つのシーンに描かれている情報に意識を向けて、臨場感を強めることが大切です。

特に、物語の背後にある華厳の世界観に留意する必要があります。

強い臨場感を維持したまま瞑想することができれば、「あなたの情報場」と「華厳の世界の情報場」に関係性が生じて、「あなたの情報場」を書き換えることができます。

それでは、「スターウォーズ」の物語のなかで描かれている華厳の世界観について、いくつかポイントを挙げてみます。

フォースとは「心の力」

主人公をはじめとしたジェダイの騎士たちが使う「フォース」という超能力。あれは「心が生み出す力」のことです。

ダース・ベイダーは「十法界」

帝国軍のダース・ベイダーの描き方。エピソード4〜6では彼はフォースの暗黒面に落ちた悪役として描かれますが、もともとは(エピソード1〜3では)心優しき優秀なジェダイの騎士アナキン・スカイウォーカーでした。

彼は、愛する者を守りたいという情動にとらわれた結果、怒りや憎しみに心を支配されてフォースの暗黒面に落ちてしまいます。

しかしエピソード6で、息子であるルーク・スカイウォーカーが銀河帝国皇帝を自らの手で倒します。

ダース・ベイダーのなかには善の心も悪の心もあったのです。

彼自身がどちらを選ぶかによって彼の生き方が変わるということであり、それは十法界と同じ考え方です。

ヨーダやオビ=ワン・ケノービは「観音様」

エピソード4〜6でルークを導く存在としてオビ=ワン・ケノービやヨーダが登場します。

彼らは物理世界でルークを導くだけでなく、自らが死んだ後も時空を超えてルークに語りかけ、彼を導こうとします。

オビ=ワンやヨーダは、いつでも仏陀になれるのに、人々を導くために現世にとどまっている観音様のような存在です。

エピソード6の最後のシーンでは、善の心を取り戻したダース・ベイダーが、ヨーダ、オビ=ワンとともに観音様のような存在として登場します。

どれだけ悪いことをしても、心を入れ替えれば、すべての人が救われますよという結末は、いかにも大乗仏教的です。

ほかにも、宇宙空間をワープして一瞬でほかの場所へ移動するシーンがありますが、ワープはまさに瞑想のパワーですし、ルークが恐怖に向き合うシーンも仏教的な描かれ方をしています。

とはいえ、西洋人が作った映画ですから、すべてが仏教的ではありません。

典型的なのが、帝国軍の宇宙要塞デス・スターが星一つを丸ごと破壊してしまうシーンや、共和国軍がデス・スターを破壊してしまうシーンです。

まるで天罰のように一気に人を殺してしまうのは、西洋的といえるでしょう。

これらのシーンを除けば、大筋は仏教的で、華厳瞑想の道具としてはいい映画だと思います。