生き残るには「強み」を磨くしかない

「貿易」視点で経済を考える

国内需要に国内生産が追いつかないときは輸入し、国内生産が国内消費を上回るときは輸出することができます。

国家間の貿易をみると、その国の経済状況がみてとれます。

日本は資源小国であるため、原燃料の需要を国内産出量で満たすことができません。そのため諸外国から輸入します。

この時点でコスト高となってしまうため、技術力を高め、付加価値の高い工業製品を作る努力をしてきました。

しかし、輸出を過度に進めていくと貿易摩擦が発生します。

1980年代の日本とアメリカ合衆国との自動車貿易摩擦が好例です。そのため自動車企業は、輸出市場との貿易摩擦を回避するために、海外への工場進出を進めます。

結果、日本では製造品出荷額や就業機会が減少して、「産業の空洞化」が起こりました。

近年は、国際分業体制が進展しています。

国際分業体制とは、世界各国がそれぞれ得意とする分野の製品を生産し、それを輸出し合う体制のことです。

自国で生産するよりもコストを削減できます。その中で日本は「最終消費需要向け輸出」よりも「中間需要向け輸出」のほうが大きくなっています。

つまり、最終財(完成品)の組み立てよりも、他国での製造工程に中間財(部品や機械類)を供給する役割にシフトしているといえます。

こうして日本は「原材料を輸入して工業製品に加工して輸出する」という加工貿易の性格が弱まり、現在では中間財である部品を輸出し、他国で生産された完成品を輸入するようになっています。

しかし、日本から輸出された部品が完成品となって、それらのすべてが日本へ輸出されるわけではありません。

第三国へと輸出されるケースもあるため、日本の輸出は実質的に第三国の国内需要によって増減することとなります。

経済のグローバル化の進展によってヒト・モノ・カネ・サービスが国境を越え、また情報技術の進展によって情報伝達の時間距離はゼロになりました。

国内生産できないものは輸入してまかなうようになり、国際分業体制はより深化すると考えられます。