「産業革命」から読み解くこれからの世界

「工業」視点で経済を考える

世界における工業発展は、18世紀後半にイギリスから始まった第一次産業革命を契機とします。

ジェームズ・ワット(イギリス)によって改良された蒸気機関が利用されるようになり、昼夜を問わず工業製品を生産するようになりました。

需要を超えた生産が行われると、余った工業製品を売るための市場の獲得が急務となり、世界各地で植民地争奪戦が始まりました。

また、蒸気機関を搭載した蒸気船や蒸気機関車の登場により、遠隔地への大量輸送が可能になり、本格的な貿易が始まりました。

第二次産業革命は19世紀後半から始まりました。

それまでの石炭から、石油や電気を新たなエネルギー源とする重工業中心の経済発展がみられました。

アメリカ合衆国の発明家トーマス・エジソンが電球を発明したのもこの頃(1879年)です。

大量生産、大量輸送、大量消費の時代の幕開けでした。

特にフォード・モーターが生産したフォード・モデルTは第二次産業革命を象徴する工業製品だったといえます。

第三次産業革命は20世紀後半のことでした。

電子技術やロボット技術が活用されるようになると、あらゆる産業で自動化が促進されました。

「IT革命」と呼ばれる、情報技術による社会生活の変革がみられました。

労働生産性が上がり、先進国の高い技術力と発展途上国の賃金水準の低さが組み合わさり、利益の最大化を図れる場所での製造が始まります。

中国の経済成長が本格化した時代でもあり、発展途上国の工業発展を促しました。

第四次産業革命は2010年頃より進んだ技術革新のことです。

IoT (Internet of Things)は「モノのインターネット」と呼ばれ、家電製品や自動車などの「モノ」が直接インターネットに接続されるようになりました。

ビッグデータと呼ばれる大量のデータは、人工知能(AI)によって分析され、最適化された生産やサービスが可能となりました。

先進国では第四次産業革命が起こり、次世代の技術開発が進んでいます。

一方、新興国では、豊富な人口、低賃金労働力の存在、原燃料資源などを好材料に、先進国の企業を誘致し、製造拠点や供給元になろうとする動きが活発化しています。

いまや「世界の工場」となった中国だけでなく、工業立地の最適化は日々変化しており、世界はめまぐるしく変化し続けています。