1968年、フレデリック・ハーツバーグは「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌に「もう一度部下をやる気にさせるには」と題した論文を発表しました。
以来30年以上たつが、現在でも通用する的確な意見で、わかりやすくてなかなか品も良い。
いわく「ケツに蹴りを入れる」ようなやり方のマネジメントでは、やる気を引き出す効果はない、というのです。
その理由は、社員の自尊心を傷つけ、不満や恨みを抱かせることが、結果的に業績を低下させるからだといいます。
ハッツバーグによれば、悪い結果しか生まれないにもかかわらず、アメリカではこのスパルタ式マネジメント方法が非常に広くおこなわれているといいます。
1987年の改訂版に追記として、依然スパルタ式マネジメントがはびこっているようだ、と彼は懸念を述べています。
従業員の幸福よりも株主への配当金と管理職の報酬を優先する、結果しか見ない圧倒的な考え方こそ、いまだにスパルタ式マネジメントが幅を利かせている原因になっています。
数字で結果を出せ、できないならクビだ。目標を達成しろ、できなければ窓ぎわ行きだ。そんな組織がまだまだあります。
スパルタ式を用いる上司と、不安を克服した上司には決定的な違いがあります。
スパルタ式上司には教育者的一面があり、いい成績をとれ、試験に合格しろと部下に命じる厳しい教官のようです。
上から部下に睨みを利かせ、各人の業績をつねに査定しています。目標に届かなかった場合は相応の罰を、達成した場合は賞を与えます。
不安を克服した上司は、部下を対等に扱い、目標達成に向けてのサポートをします。
上司は必要に応じてアシスタントあるいはコーチとしての役割を果たします。
一貫して信頼と敬意を持った態度で接し、部下の能力を信頼しています。
部下たちは成績を上げようと苦しむ必要はなく、自分のベストを尽くせば良い。
上司は部下を尊重することで、その仕事ぶりを支えています。
不安を克服すれば、スパルタ式のような小手先の手法は必要ありません。
自分を良く見せようとして他人を踏み台にすることもありません。
無理に目立とうとしなくても、成功に必要な「輝き」は自分の才能がもたらしてくれると自信が持てるのです。
⭐️ 部下の能力を信頼し、尊重することで、その仕事ぶりを支えるよう努める。