的を絞る

これまで仕事でエグゼクティヴに接してきて、次のような言い分をよく耳にしました。

「私の才能を活かせるような仕事ができたらどんなにいいか。でも現実はそうはいかない。いったいどうしたらいいんでしょうか。」

才能を活かせない仕事をしているとわかっているのなら望みはあります。 才能に合うように仕事の形態を変えればいいのです。

ときには、特に今のような変動の激しい企業社会では、気づいたら自分の才能に少しも合っていない仕事をしているという可能性もあります。

また、組織再編によって最適な人材が見つからないポジションが新設されることもよくあります。その結果、才能に適していないポジションへいつ移動命令が下されるとも限りません。

そこでまず、その仕事の中に自分が得意とする要素を見つけてみましょう。

これといったものがない場合は、自分の得意な分野に向けてその仕事を拡げられないか考えてみることです。

どんな仕事も変化する可能性があるわけだから、その変化をうまく利用して自分に適した形態になるようにしてみるといいです。

ダンの例。彼は、ある一流企業の人件費関連を担当する責任者です。

大学卒業後、入社してすぐ人事部に配属になり、以来ずっと人事畑でキャリアを積んだのち、社内最大の事業部内の他のマネージャーたちと連携して優れた働きを見せ、労働契約にかかわるどうしようもない事態が持ち上がると、マネージャーたちは適切な解決法はないかと彼を頼ってくるようになりました。ダンは素晴らしい交渉力の持ち主でした。

ダンにはこうした長所がありましたが、数字にはめっぽう弱く、人件費を担当することになって、一層それを思い知るようになりました。

これまではたいてい別のだれかが経理面を担当していたので、困ったことにはならずにすんでいました。

人事担当重役に命じられて、人件費関係全般を統括する責任者に就任するまでは、ダンの弱点は特に問題にはならなかったのです。

就任後、ダンは自分の得意分野に的を絞りました。組合との団体交渉と対外的な契約交渉です。

給与手当の方針は大部分が労使間の交渉によって決められるので、労働組合と話し合って最善の合意を得るという仕事に力を注ぎました。

特別手当を組み合わせた給与体系の基準を定めるにあたっては、数字に強い人材を数人雇い、給与プランを充実させるのに成功しました。

その仕事に一年間取り組んだあと、次に着手したのは、会社が社員の健康管理のために契約している医療機関や、整理再編を進めている下請け会社、人材派遣事務所などとの契約交渉でした。

ここでもやはりすべて良好な合意にこぎつけることができ、人事予算の大幅削減に貢献しました。

一般的に見て、人件費担当の責任者として成功している管理職といえば、複雑な給与体系や手当明細、年金制度などを理解し、それを読み解くことを楽しむとするような人を思い浮かべます。

しかし、ダンはまったく正反対です。

それでも彼は自分の才能に合うように仕事内容の方向性を変えました。

その結果、当初は彼の能力には適さないと思われた仕事で成功することができたのです。

苦手だとわかっている作業が任務上必要になる場合、その作業の専門家に委託する方法を探してみましょう。

委託が可能ならば、優秀な人材を登用しましょう。

あなたとよく似た才能の持ち主ではなく、あなたに欠けている部分をその人の才能が補ってくれるのが望ましいです。

専門家への義務委託は、エグゼクティヴにとっては絶対に不可欠なものです。

いずれさ手に余るような状況にだれもが直面します。

助けてくれるスタッフを雇うというケースもあれば、大統領補佐官のように、舞台裏で働いてくれる「陰の相談役」に情報を与えてもらい、進路を誤らないようにする方法もあります。

自分で対処できる状況であっても、自分の力だけで上昇していくのではなく、慎重に自分の弱点を補いつつ進んでいくのが、成功者のやり方です。

⭐️ 仕事の中に得意な要素を探す。 ない場合は得意な分野に向けて拡げられないか考える。

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