企業間の分業と巨大資本の登場

クアルコムという世界でも指折りの半導体チップの会社があるが、インテルやサムスンと違って自社工場を持ちません。

クアルコムは他社の工場に委託して自分たちがデザインしたチップを生産します。工場がないから施設への投資も必要ないし在庫の管理も不要です。

このような企業を、「ファブレス企業」そして、その依頼の通りにチップを生産する企業を「ファウンドリ」と呼びます。

このような企業間の分業と分野別の資本集中と巨大化が現代のトレンドです。

資本はいろいろな分野に投資するより、自分が確実に支配できるひとつの分野に集中して残りは外部発注する。

自社工場を持たずに商品を生産するビジネスモデルは、このようなトレンドが進んだ結果現れました。

少数の巨大企業が分野別の市場を支配する事態は、あらゆる分野で進行しています。

食品業界はいくつかの巨大食品企業と巨大ファーストフードチェーン、巨大マートが支配するようになっています。

食品企業は圧倒的な支配力を使って契約した農家に家畜の成長を促進するいろいろな施設に投資することを絶えず要求します。農家がそれを断れば契約が打ち切りになります。

設備に投資した農家は重い借金を背負うことになります。

「FOOD,INC」というドキュメンタリー映画によると2つの鶏小屋を持つ一般的な農家は、平均して5000万円の負債を負うが、収入は1年に180万円です。

この農家は巨大資本に完全に隷属しています。農家だけでなく消費者も剰余価値を最大にするために抗生剤を使って生産された肉を食べなくてはなりません。

命がかかっている医療分野では、問題はより深刻になります。

製薬会社も小さな規模の企業は新薬の開発に不利なので、少数の巨大企業だけが市場を支配しています。

巨大製薬会社は自身の利潤につながらない薬の供給を中断しようとしたり、薬の価格をとんでもなく高く策定することもあります。

資本の蓄積と集中による巨大化はこうして強い権力を持ち少数の資本家以外のすべての人間はその奴隷になります。

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