システムの細部は国によって違うものの、貨幣は中央銀行によって発行された後、市中銀行を通じて市場に流通するという基本的な構造を持ちます。
中央銀行が発行したお金は市場に直接流通せず市中銀行に貸し付けられます。
市中銀行が持っているお金が市場に移る過程は誰かが銀行からお金を借りるしかないです。 市場に流通するすべてのお金は最初は誰かが市中銀行から借りたお金です。
だから、今あなたが持っているお金は、あなたが直接借りたものではなくても、他の誰かが銀行から借りたお金です。それは個人が借りたお金かもしれないし、企業が借り入れたお金かも知れません。
どちらにせよ、市場のお金すべてが銀行からの借金だということには変わりないです。
この世に住んでいる住人が10人だと仮定してみましょう。そしてお金を貸し付けてくれる銀行もあるとしましょう。
市場にお金が流れるためには、銀行からお金を借りなければなりません。
10人が皆、100万円ずつ銀行から借りたとします。返すときは利子をつけて110万円で返済することになりました。
10人それぞれに100万円ずつ貸し付けたわけだから銀行は全部で1000万円を発行したことになります。
だからこの世界の通貨量は全部で1000万円、その後10人は熱心に働いてお金に利子をつけて返済するよう努力しました。
やがて、ひとり目が銀行に110万円を持ってやってきた。続いて2人目が、やがて3人目、4人目、5人目、6人目…。こうして9人が銀行に110万円を返済しました。
10人目は、とうとう来なかった。 一体彼に何が起こったのでしょう?
銀行が発行したお金は全部で1000万円だが、これまでに110×9=990万円が回収されました。従って、この世に残ったお金は10万円だけです。 これでは10人目がどう頑張っても110万円を返すことはできません。
方法はひとつしかありません。銀行がさらにお金を発行することです。
銀行から市場にお金が流れるためには誰かがお金を借りなければならず、返済に利子がつく限り誰かしらは負債を被らなければいけないのです。
これが今、私たちが住んでいる資本主義社会の貨幣のメカニズムです。