資本主義システムでの労働の構造

目次

労働と道具

労働のプロセスは次の3つの要素に分けられます。 1.労働 2.労働の対象 3.労働に使われる道具

道具は、労働する人間と労働の対象の間に位置し、人間の労働を対象に伝えてくれる。

果物など、すでに完成された自然物を収穫する活動を除けば、労働者が最初に持っているのは労働の対象ではなく、道具です。

動物の中で道具を使うのは、人間だけの特徴なので、ベンジャミン・フランクリンは我々を「道具を作る動物」と定義した。

道具は、労働と原材料の間に位置し、原材料の価値を商品に転化させる役割を果たします。

テクノロジーのレベルがその効率を決定し、商品に含まれる労働の価値や、商品の価格に影響を与えるのです。

結果であり製品でもある原材料

労働のプロセスとは、人間の労働が道具の助けを借りて、原材料を変化させることです。

ここでの労働の対象と道具は生産手段で、労働は生産行為です。

製品の形をとる使用価値は、労働のプロセスから生み出される結果ですが、その結果はまた原材料として労働プロセスに投入することができます。

だから、使用価値は、以前の労働プロセスの結果であり、以後の労働プロセスの生産手段でもあります。

労働プロセスの結果が、再び他の労働プロセスに投入される、ということもあります。

例えば、牛乳は牧場の生産プロセスの結果であり、それ自体が商品でもありますが、これがチーズやヨーグルトの生産プロセスに原材料として投入されることもあります。 生産の結果だった牛乳が、チーズ工場では生産手段として活用されるわけです。

資本家の目的は剰余価値

資本家は商品を、それ自体の使用価値のためには生産しません。

資本家が商品を生産する理由はただ、それが交換価値が体現されたものだからです。

資本家には2つの目的があります。 彼は「交換価値のある使用価値を生み出す」ことを望みます。 それは“売れる商品”を作り出すことにつながります。

そして彼は、その交換価値が「生産費用よりも高い価値で売れる」ことを望みます。

価値を生み出すだけではなく、剰余価値を生み出そうとします。

剰余価値

労働力は、ただ自分の価値を再生産するだけではなく、追加の価値を生み出します。

追加の価値、つまり剰余価値は、完成された商品の価値から、それを作るために消費された生産手段と労働力の価値を引いて導き出せます。

完成した商品の価値ー生産手段の価値ー労働力の価値=剰余価値

労働が持つ2つの性質

生産手段(原材料と生産道具)の価値は、労働によって製品の価値に転化されます。

例えば、コットンと糸繰り車の価値は、生産の結果である糸の価値に転化されます。

「生産手段の価値を製品に転化する」ことと「新しい価値を作り出して製品に付け加える」ことは、労働の2つの性質です。 この2つは完全に分けて考えなければなりません。

例えば、新しい発明によって、コットンから糸を作るときに36時間必要だった労働が、6時間に短縮されたとしましょう。

すると、糸に転化されたコットンの価値は6倍になります。しかし、同じ量のコットンに含まれる労働の価値は6分の1になります。

これは、労働の2つの性質が本質的に異なることを証明しています。

在庫管理も生産活動の一部

時間軸を見ると、生産物は生産と消費の間にあるから、在庫の形になるときがあります。

生産過程と再生産過程の流れは、一定量の商品が常に市場に存在することを要求します。

商品の保管には追加の労働力が必要なので、商品の価格は上がり、その労働力は資本の一部から流出するため、非生産的な費用といえます。

社会的労働生産性が増加するにつれて、生産規模は拡大し、一緒に在庫規模も増大します。

一定の期間の需要の規模に合わせ、在庫も一定の規模を維持しなければなりません。

このような商品の停滞は、販売のための必要条件とみなされています。在庫は常に消えていくから、絶えず更新して作られなければなりません。

運送も生産活動の一部

一般的には、商品の流通は商品に価値を付け加えることはできません。

しかし、商品の使用価値は、それが消費されるときに現れます。

そのためには場所の変化が必要だから、「運送」という追加の生産過程が必要になります。

従って運送業で投下された生産資本は、生産物に価値を加えます。

その価値の一部は、運送手段からの価値の転移によることで、残りの一部は運送労働による付加価値によることです。

運送労働が付け加えた価値は、すべての資本主義的生産と同じく、賃金に対する部分と剰余価値の部分に分けることができます。

運送費の増減にも「労働生産性と、労働が生み出す価値は反比例する」という、商品生産の一般的な法則が適用されます。

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